「カプリコン1」(1977/アメリカ)
人類が月に降り立ったなんて嘘だぁ、という話が流行ったことがありましたが、それの元ネタってコレだろー?と思わず思考の逆転現象を起こしてしまいそうになる一本。それくらい完成度が高く、面白い映画でございます。そういや「ワグ・ザ・ドッグ」なんて映画もありましたっけ。
有人火星探査機カプリコン1打上げ直前にトラブルが発生、3人の宇宙飛行士は地上に残り失敗を表沙汰にしないためにプロジェクト成功の芝居をうつことになる。大気圏突入の際の事故で、(無人の)カプリコン1は消滅、生きていては都合が悪くなった3人は身の危険を感じて施設から逃亡する……
というのがおおまかな筋で、そこにが真相を暴こうと奮闘するエリオット・グ−ルド演じる新聞記者がプラス。とにかくサスペンスとアクションが上手く融合してて、かなり手に汗握ります。ホントに面白いですよ。作り手の気合いの入り方が半端じゃないんですね。カプリコン1のトラブルの設定、その後の芝居を続けなきゃいけない理由、すごく説得力がありまして勢いだけでも力技でもない力量には素直に拍手。ここまで情報化が進んでしまった現在を舞台にするのは難しそうですね。まだ今の目から見ると古臭いコンピューターやらなにやらも説得力を持たせるというか、リアルに『こういうことも可能か』と思わせる要因かと。
エリオット・グ−ルドが砂漠を逃げ続ける宇宙飛行士を助けるために、農薬散布をしてるおっちゃんと飛行機をチャーターするんだけど、そのおっちゃんがテリー・サバラス。もうむちゃくちゃ良い味出してます。2機のヘリ相手にチェイスを繰り広げるクライマックスは圧巻!テリー・サバラスのキャラのおかげで、それまでの『いやー、もう勘弁してあげてよ!』というノリに余裕が出るのは有り難いところ。当局に付け狙われるグ−ルドの車が細工されて、ブレーキが効かずにどんどんスピードがあがって街を暴走するシーンなんかも、最近の映画にはない雰囲気のはらはら感で、たんにポリティカルサスペンスとしてではなく、アクション映画としての出来も最高でございましょう。
ラストシーンはなかなか胸がすっとする感動ものですが、欲を言えばもうちょっとその後のことも描いて欲しかったですね。あとの2人の宇宙飛行士がどうなったのかも知りたいし、あそこまでやきもきさせられたんだから、ハル・ホルブルックがぎゃふんと言わされるところまで見たかったです(笑)。