Foolkiller Movie Death Trip

最近見た映画の感想文を中心に、音楽や読書の話題も(全て凄まじく偏っている)。
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J.G.バラード「ハイ・ライズ」
J.G.バラード「ハイ・ライズ」読了。
いやぁああああ、(またしても)これは凄かった。テクノロジー三部作の中ではダントツで好きです。文庫(原価は280円)でしたが、2000円の価値は十分にありました。

インテリ層、上流階級の人間ばかりが住む40階立ての超高層マンション。モールやフィットネスクラブ、小学校までも備えたそのマンションは一つの社会として成り立つほどのものだった。夜毎開かれるパーティーが狂騒的になるにつれ、徐々に階級間の摩擦が激しくなり、マンション内は『退化』と呼べる様相を呈する『新世界』となっていく。閉ざされた空間における人間の行動と心理と順応というのはバラードのどの長編にも基本的に見られる図式。「ハイ・ライズ」の場合は高級マンションといっても、住む階の高低に基づく階級差があり、近しいとは言え別階級間の抗争があるのは珍しいところ。下層部、中層部、上層部とそれぞれの階層にメインの登場人物がおり、彼等がどんどん『退化』していく様が描かれます。電気は通らず、空調も効かず、食料もなく、トイレも溢れた中で、罠を仕掛けてペットをとらえ、バリケードを築き………

以下、少しネタバレ。
いまはただバケツがわりの、うちすてられた洗濯機と冷蔵庫を見上げた。それらの本来の機能がなんだったのかなかなか思い出せなかった。なかばそれらは新しい意味をおびてしまっているのだが、その役目はまだ彼にはわかりかねた。高層住宅が持つこの荒廃の性質すら、実は未来に待ち受ける世界のモデルであり、それはテクノロジーのかなたにある風景であって、そこでは一切すべてがうちすてられているあ、おぼろげながら、すべてが予想外の、だがより意味深いかたちで再結合しているのだ。


ヒエラルキーは崩壊し、途中からは急激に下から上を目指すことも意味を失い、そのうちに暴力は様式化されて、逆に外の社会に似て来ます。そうして主人公の一人、ドクター・ラングは朝食に犬の肉を焼いてそれを食べたら出勤しようと考えているところで終わるんですが、その順応はけして悲劇的なものではない(と思う)。退廃的には見えるけど、一種の進化なのではないか。「結晶世界」「沈んだ世界」でも、飲み込まれるにしろ出て行くにしろ、それはある種の進化と言えるんじゃないかな。どうやって、新しい発明や事象に人間は対応していくのか、取り込み、噛み下し、順応していくその前には必ずひっかかりがあるものです。良い悪いは別として、というか割り切れないし、割り切ろうともしていないからバラードは面白いんです。

テクノロジーどうのこうのという視点では感想を上手くかけないのが歯がゆい。けど高層マンションというのはある種の団地に感じる無気味さと重なって、飲み込みやすいのはたしか。「コンクリート・アイランド」は少しシチュエーションの部分で古臭く感じたからなぁ。

汚物と体臭とゴミにあふれた高層マンションの風景と、冷たいコンクリートの島での風景、有機と無機の結婚が「クラッシュ」だとするならば、なるほど「クラッシュ」は最高傑作かもしれない。で、分かったような顔をしていますが、実際はそうでもなく(笑)。文章とかは平易なのに中身そのものが難しいです……読む度に感想は変わってくるんじゃないかな。ただ、個人的な好みで言うならば「ハイ・ライズ」のスケール感とサバゲ−に興じるかのような原初的な興奮は単純に娯楽としても面白いです。
| 稲本作蔵 | 読書 | 00:18 | comments(0) | trackbacks(1) |
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| 笑う社会人の生活 | 2016/09/11 5:39 AM |
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