さって、ジャーロってすんごい好きなジャンルだけどなかなか作品をいっぱい見られない、こんな有名で代表的な作品でさえDVDで買わないと見れないの?と憤慨してたら、なんと新宿ツタヤでビデオを発見しましたよ、つーわけで「血を吸うカメラ」。
これは……確かに凄かったかも。何が何だかわからないくらいのマイナスのパワーに満ちた非常に後ろ向きな作品であることは確か。主人公はカメラに仕込んだナイフで女性を刺殺、その断末魔の表情をフィルムに淡々と収め続ける。そして映画はサスペンス調でありながらも、あくまで主人公の側からの視点で展開する。だからそこでは所謂普遍的なサスペンス映画としての展開は望めない。ただ歪んだ人間の姿があるだけ。鬱屈していても爆発することはなく、記録されるために行われる殺人が展開していくので、そういう意味でのカタルシスもない。けれど、その密な世界がとてつもなくパワフル。そこがやっぱりジャーロの名作たる所以てことか。
そして、ワケがわからない。主人公が殺人者に育っちまった理由として、彼の父親が昔彼を被験者にして行っていた心理実験が語られるけれど、それだけでは主人公が好意を寄せるヒロインの前で自らの断末魔の表情をカメラに収める説明にはならない。なんというか、逆にそこにキチガイの人の底なしの暗さを見事に描いてる気がするなぁ。結局理解は出来ない、なんだったんだこれ、というのが最大の魅力。父親の撮っていたフィルムもとにかく不快で素晴らしい。鰯の頭も信心、って言うけどこれは本当の意味でのカルト映画だなぁ、とやっとこさ自分の目で確認いたしました。
主人公の演技も非常に気持ち悪くて、スタンプは「コレクター」の時に参考にしたんじゃないかと思ってしまった。完璧。